陶器の器はどう収納する?欠けや傷を防ぐ重ね方・保管方法
はじめに
お気に入りの器が少しずつ増えてくると、意外と悩むのが収納方法です。
「陶器は重ねても大丈夫?」
「器と器の間に布や紙を挟んだ方がいい?」
「普通の食器と同じように食器棚へしまっても問題ない?」
特に作家ものの器は、一つひとつ形や大きさが少しずつ違うこともあり、どのように収納すればよいのか迷う方もいるかもしれません。
基本的には、陶器だからといって特別に難しい収納方法が必要なわけではありません。
ただ、少しだけ気をつけておくと、欠けや傷などを防ぎながら長く使いやすくなります。
今回は陶芸家の立場から、普段使いの陶器を収納するときに気をつけたいポイントについてお話しします。
陶器の器は重ねても大丈夫?
結論から言えば、多くの陶器は普通の食器と同じように重ねて収納できます。
私自身が作っている器も、基本的には日常の中で気軽に使っていただくことを前提としています。
毎回一枚ずつ別々に収納しなければならないようでは、普段使いの器として少し扱いづらくなってしまいます。
ただし、陶器は磁器などと比べると縁が欠けやすい場合があります。
収納するときは、器同士を勢いよく重ねたり、棚の中でぶつけたりしないように気をつけてください。
大切なのは「重ねないこと」ではなく、「丁寧に重ねること」です。
重ねすぎには注意する
器を重ねること自体は問題ありませんが、一つの山に何枚も重ねすぎるのはあまりおすすめしません。
下にある器には、その上に重なった器の重さがかかります。
また、下の方にある器を取り出そうとして、重たい器の束を持ち上げると、器同士をぶつけてしまうこともあります。
普段よく使う器であれば、無理なく取り出せる枚数ごとに分けて収納した方が使いやすいでしょう。
大皿、小皿、鉢など、形や大きさが近いものをまとめておくと安定しやすくなります。
高台による傷にも少し注意
陶器の裏側には、「高台」と呼ばれる部分があります。
テーブルに置いたときに接する、器の底の輪になった部分です。
多くの陶器では、この高台には釉薬が掛かっておらず、土そのものが露出しています。
作家は焼成後に高台を研磨するなど、できるだけ滑らかになるよう仕上げていますが、釉薬が掛かった表面と比べれば多少ざらつきが残ることがあります。
(作風によっては、ほぼ高台が隠れるくらい釉薬で覆われている作品もあります。その場合、大体小さく3〜5箇所ほど点のようになった土肌の箇所が露出しています。)
そのため、器を重ねた状態で横へ擦るように動かすと、下の器の表面に細かな傷がつく場合があります。
器を重ねたり取り出したりするときは、横へ引きずるのではなく、一度持ち上げてから動かすようにすると安心です。
これは食器棚から器を取り出すときだけでなく、テーブルの上で器を動かすときにも意識しておくとよいでしょう。
器と器の間に布や紙を挟んだ方がいい?
大切な器を収納するとき、器同士の間に布や紙を挟んだ方がよいのか気になる方もいると思います。
普段使いの器であれば、必ずしも毎回挟む必要はありません。
ただし、
・表面に傷がつきやすい器
・繊細な装飾が施されている器
・あまり頻繁に使わない大切な器
・形が不揃いで、重ねたときに安定しない器
などの場合は、間に柔らかい布や食器用のクッション材などを挟むと安心です。
特に長期間収納しておく場合には、器同士が直接擦れないようにしておくと傷を防ぎやすくなります。
ただし、湿った布などを挟んだまま収納することは避けてください。
収納前にしっかり乾かす
陶器の収納で、傷や欠けと同じくらい気をつけたいのが「湿気」です。
陶器は、種類によって多少の吸水性があります。
洗った直後は表面が乾いているように見えても、器の内部に水分が残っていることがあります。
その状態ですぐに器を重ね、食器棚へ収納すると、水分が抜けにくくなります。
湿気が残った状態が続くと、匂いやカビなどの原因になることがあります。
洗ったあとはすぐに収納せず、風通しのよい場所で十分に乾燥させてから食器棚へ戻してください。
特に梅雨や湿度の高い時期は、少し長めに乾燥させると安心です。
長期間使わない器を保管するときは?
季節ものの器や来客用の器など、長期間使わないものを保管する場合も、まず十分に乾燥させることが大切です。
長く使わないからといって、完全に密閉してしまうと湿気がこもることがあります。
湿気の少ない場所を選び、ときどき食器棚を開けて空気を入れ替えるとよいでしょう。
また、久しぶりに使う器は、収納中についたほこりなどを落とすため、一度軽く洗ってから使用すると気持ちよく使えます。
「しまいやすさ」も器選びのひとつ
私は器を作るとき、見た目や使い心地だけではなく、日常の中で扱いやすいことも大切だと考えています。
器は、料理を盛る時間だけ存在しているわけではありません。
食器棚から取り出し、料理を盛り、食事をして、洗い、乾かして、また収納する。
そこまで含めて「器を使う」ということだと思っています。
どれだけ美しい器でも、重ねにくかったり、収納するたびに神経を使ったりするものでは、次第に食器棚の奥へしまわれてしまうかもしれません。
だからこそ、普段使いの器には「しまいやすさ」も大切です。
器を購入するときには、デザインや大きさだけでなく、
「自宅の食器棚に入りそうか」
「普段使っている器と重ねられそうか」
という視点で選んでみるのもよいと思います。
まとめ
陶器は、基本的には普段の食器と同じように重ねて収納することができます。
ただし、器を長く気持ちよく使うためには、
・器同士を強くぶつけない
・重ねすぎない
・高台を横に擦らない
・必要に応じて器の間にクッション材を挟む
・十分に乾燥させてから収納する
といった点を少し意識しておくと安心です。
特別に難しいことをする必要はありません。
日常の中で少しだけ丁寧に扱う。
それだけでも、お気に入りの器を長く使うことにつながります。
器は、しまって眺めるものではなく、使うことで生活の一部になっていくものです。
あまり神経質になりすぎず、ぜひ日々の食卓で気軽に楽しんでいただければと思います。
