うつわの「貫入」とは?ヒビではないって本当? | 松尾亮佑

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よくある質問

うつわの「貫入」とは?ヒビではないって本当?

はじめに

器の表面に、細かい線が入っているのを見たことはありませんか?
初めて見ると「これ、ヒビが入ってる…?」と少し不安になるかもしれません。実際、展示会やオンラインショップでも、この質問はよくいただきます。
でもその線、多くの場合はヒビではなく、「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる陶器特有のものなんです。

貫入とは何か

貫入とは、器の表面を覆っている釉薬に入る細かな線のこと。
陶器は「土」と「釉薬」という異なる素材を組み合わせて作られていますが、焼成後に冷えていく過程で、それぞれの縮み方に差が出ることで、この線が生まれます。
つまり、貫入は焼き物が焼き物である証拠のようなもの。構造的な強度に直接関わるものではありません。

ヒビや割れとの違い

よく混同されがちですが、ヒビや割れは素地そのものが壊れている状態です。一方、貫入は釉薬の表面だけに現れるもの。
水が漏れたり、使っているうちに突然割れたりする原因にはなりません。見た目は少し似ていても、まったく別のものだと考えてもらって大丈夫です。

使い込むことで生まれる表情

貫入の面白さは、使い始めてからが本番だと思っています。
お茶やコーヒー、料理の色が少しずつ貫入に入り込んで、器の表情が変わっていくことがあります。これは汚れではなく、時間と暮らしが刻まれた跡。
いわゆる「育つ器」と言われる理由のひとつで、同じ器でも使う人によってまったく違う表情になります。

作家によっては、窯から作品を出した直後に器の表面に目の細かい墨を塗って黒いヒビ模様を入れる方もいます。その模様が赤っぽかったら弁柄(べんがら)ですし、茶色っぽかったらコーヒーや柿渋かもしれません。色々遊べますね。

陶芸家として伝えたいこと

僕自身、目に見える貫入が入る釉薬を使っていませんが、貫入の出方は作品ごとに違うし、完全にコントロールできるものでもありません。だからこそ、そこに偶然性や面白さを感じています。
最初は気になるかもしれませんが、しばらく使っているうちに「これもこの器らしさだな」と思ってもらえたら嬉しいです。

けれど、どうしても気になる方は、「目止め」という購入時の器の状態を長持ちさせる方法がありますので、そちらを試してみてほしいところです。しかし、一度目止めをすると器を育てにくくなるのでご注意くださいね!

まとめ

貫入は欠陥ではなく、陶器ならではの個性。
時間とともに変化する姿も含めて、器との付き合いを楽しんでもらえたらと思います。

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