陶芸の乾燥 | 松尾亮佑

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陶芸の工程

陶芸の乾燥

はじめに

陶芸の工程の中で、もっとも地味に見えてるかもしれませんが、もっとも大切なのが「乾燥」です。
成形がうまくいっても、乾燥が適切でないと ひび割れ、歪み、底割れ などが起こり、作品がダメになってしまいます。

この記事では、陶芸初心者がつまずきやすい乾燥のポイントから、プロの現場で行われている乾燥管理のコツまで、分かりやすくまとめています。
「どうやって乾燥させればいいの?」「なぜ乾燥で割れるの?」という疑問にもお答えするので、ぜひ参考にしてみてください!

1. 乾燥の目的・必要性

成形後の粘土は、まだ水分が多く含まれていて、とてもデリケートな状態です。
この状態で急激に乾かしたり、部分的に乾燥ムラができたりすると、収縮の差が生じてひび割れが起こります。急いでいてドライヤーで乾燥させるという方法もあるにはあるのですが・・・オススメはしません。一部だけ乾いたりすると、よく乾いている部分から生地が引っ張られて割れや歪みの原因になります。ゆっくり・・・が大切です!

乾燥には以下のような段階があります。

  • 成形直後(柔らかい):自重で歪みやすい
  • 半乾燥(青い状態):しっかりしているが加工可能
  • 生乾き(白くカサカサ):もろいので丁寧に扱う
  • 完全乾燥:素焼きの準備OK

乾燥は「水分を抜くための時間」ではなく、
“作品にストレスを与えず、均一に収縮させる工程” だと理解すると失敗しなくなります。上述しましたが、ドライヤーや天日に晒して急激に水分を飛ばすようなことをすると、作品にストレスを与えることになります。

2. 乾燥の進め方

● ステップ1:成形直後は“とにかくゆっくり乾燥”

成形してすぐは、作品が最も弱く壊れやすい状態です。少しの刺激で変形してしまいます。
そしてこの段階で急激に乾燥させると、ほぼ間違いなくひび割れが起こります。

  • 口元が乾いてきたら、作品の上から新聞紙やビニール袋をかけて湿度を保つ
  • ビニールでくるむ場合は、口を少し開けて、少しずつ乾かす
  • 皿や板モノは布や新聞紙の上に置き、裏面の湿りも安定させる

乾燥台の上に置く場合も、作品の上下を適宜返すとムラが少なくなります。

様々なやり方があるのですが、成形時の作品の厚みによっても乾燥の進み具合は変わります。臨機応変に、急激に乾燥しないような工夫が必要でしょう。


● ステップ2:半乾燥(青い状態)までの目安

半乾燥とは、やさしく生地を触ったり持ち上げたりしても崩れたり変形することない状態を言います。この状態に明確な名前はありませんが、便宜上多くの陶芸家はこれを「青い」と表現しています。土の種類が変わっても同じ言葉を使っているように思います。白土でも、絶対青く見えない赤土だとしても、です笑。乾燥しきれていない状態の作品を「青い」と言っていますね。
そしてこのタイミングで行う作業は多いです。

  • 高台削り
  • 取っ手付け
  • パーツの貼り合わせ
  • 表面の整え

半乾きになったらビニールを完全に外してしまわず、作業と乾燥をバランスよく進めることが大切です。私は工房に日常的に居るので逐一管理できますが、出かけるときはその日の気温や湿度、どの程度の時間で帰ってくるかを考えたうえで作品とどう向き合うかを決めています。

長時間出かけるなら作品にビニールをかけるし、短時間なら新聞紙をかけるだけ。気温が高いなら短い時間でもビニールをかけるか全体を包むか、適宜やり方は変えます。乾燥が上手くいかなければ、せっかく削った作品も綺麗に仕上がらないんです。地味だけど、最も大切な作業と言えるでしょうね。お世話している感覚が最も出る工程ですね笑。


● ステップ3:生乾き〜完全乾燥

半乾燥を過ぎると、作品は表面が白っぽくなり、乾燥が進んできます。

ここから注意すべきは、
「表面だけ先に乾きすぎないようにすること」

  • 直射日光は避ける
  • 風が強すぎる環境もNG
  • 底面が乾きにくい場合は、時々持ち上げたり返したりする

完全に白くなり、触ったときに“冷たさ”を感じなくなれば素焼きに進めます。

油断できないのは、分厚い作品を作った時です。表面は乾いているように見えても、内側は水分がたっぷり・・・ということもあります。「無垢(むく)」という作品があるのですが、要は粘土で中身の詰まった作品のことです。置物などを見た時、底に穴が開いていたりしませんか?あれは乾燥を早くするためであり、軽い置物にしたい時です。

しかしペーパーウェイトなど重たいものにしたいときは中に空洞を作るとダメですよね。そのような場合に作品の乾燥はとても時間がかかります。万が一完全乾燥していないまま素焼きに移ってしまうと、窯のなかで水分が急激に蒸発することで作品が水蒸気爆発を起こし粉々になってしまいます・・・!

かく言う私も過去に何度もしています(笑)。誰もが通る道ですが、一所懸命に作った作品。悲しい結果にはしたくないですよね笑。


3. 乾燥で起こるトラブルと原因

◆ ひび割れ(表面の亀裂)

原因

  • 乾燥ムラ
  • 接合時の水分の違い
  • 厚みの偏り

対策

  • 乾燥はビニールでゆっくり
  • 取っ手やパーツを付けるときは水分量を合わせる
  • 成形時から厚みを均一に

◆ 歪み

原因

  • 板作りの向き
  • 片側だけ日が当たる
  • 自重によるたわみ

対策

  • 乾燥中は時々返す
  • 板モノは平らな板に挟んで乾燥
  • 大皿などは特に時間をかける

◆ 底割れ・爆発

原因

  • 内部に水分が残ったまま素焼きした
  • 厚みのある部分が乾いていない

対策

  • 素焼き前に“冷たさ”が残っていないか確認
  • 厚い作品は特に長時間かけて乾燥させる

4. 季節や環境で変わる乾燥のコツ

● 夏(乾燥が早い季節)

  • 速乾によるひび割れが特に多い
  • ビニールを2重にすることもある
  • クーラーの風は直接当てない

● 冬(乾きにくい季節)

  • 意外と均一に乾きやすい
  • ただし底が乾きにくいので返しながら進める

● 梅雨・湿度の高い時期

  • 乾かない → カビのリスク
  • 乾燥棚の風通しを確保
  • 時々ビニールを開けて水分の逃げ道を作る

これらを理解しておくと、どの季節でも安定した乾燥ができると思います!均一に乾かすために発泡スチロールの箱に作品を詰めて乾かすなども1つの手ですが、1箱に入る数が限られるので工夫が必要だったりします。

乾燥は結構季節や気温に左右されるんですよねぇ・・・ほんと難しく手がかかるのが乾燥です笑。

5. 実際の工房での乾燥方法

陶芸家の現場では「乾燥管理」がとても重要視されています。
私のように日々制作している陶芸家が意識しているのは、次のようなポイントです。

  • 乾燥棚のどの位置が“乾くのが早いか遅いか”を把握して使い分ける
  • 新聞紙やビニールは作品ごとに調整する
  • 取っ手などの付けパーツは「必ず同じ硬さ」にしてから接合
  • 作品を置く向きを変えながら乾燥ムラを防ぐ
  • 乾燥中の作品の変化を毎日確認して微調整する

この“微調整”こそが、プロの作品が安定している理由のひとつです。

温かい空気と冷たい空気はどちらが上にいく?など考え、作品棚の上の方は乾きやすいかなぁ・・・換気扇の近くは乾きやすいよな?などのように、一旦乾きやすいところに置くけど、時間が経ったら場所を変えたり向きを変えたり工夫しています。

乾燥については本当に書くことが多いです。伝えきれないところは出てしまいますが、結構大事にしていることは書けたなぁと思います。参考にして頂けたら幸いです。

まとめ

陶芸の乾燥は、作品の完成度を左右する重要な工程です。

  • 乾燥の基本は「ゆっくり・均一に」
  • 乾燥ムラをなくすことでひび割れや歪みが防げる
  • 作品の厚み・季節・環境によって乾燥方法を変える
  • プロは作品を毎日観察しながら微調整している

次の記事では、乾燥を進め半乾燥の時に行う「削り」について解説するので、ぜひあわせてご覧ください!

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