陶芸のろくろ成形とは
はじめに
前回の記事では陶芸の「土練り」について話してきました。土を練れたら次は「成形」、つまりは形作りの話になってきます。多分、皆さんが思う陶芸で一番楽しいと思うところですよね(笑)。陶芸体験でも「成形」だけやる!というのはよくあるところですし、見せ場と言うか見どころというか面白みが最も詰まっているところになるとは思います。
作り方は様々ありますが、はじめ粘土の塊だったものがどんどん姿形を変えていって器やオブジェになっていく・・・楽しいですよねぇ。私も初めてろくろの作陶風景を見たときは感動したものです。あっという間にあらゆる形に変わってお茶碗ができるのですから。
さて今回は「成形」とはなんなのか、どのようにして形作られているのか・・・?そのあたりをお話ししていけたらと思います!
成形とは
成形とは、文字通り粘土をこねこねして形を成していくことなのですが、様々な方法があります。
例えば、基本の「手びねり」、「玉作り」、「ろくろ」、「タタラ」、「型打ち」「打ちこみ」、「鋳込み」などなど…
聞いたことのある成形方法は幾つあったでしょうか?一口に成形と言ってもやり方は沢山あります。全てを説明していると教科書作る勢いになるので、今回は「ろくろ」成形を中心にお話していけたらと思います。他の技法にも触れたいと思いますが、また今度にしておきます・・・笑。
ろくろ成形とは
ろくろは、漢字で書くと「轆轤」と難しい漢字だったりします笑。ろくろは陶芸に限ったものではないのですが、要は回転運動を利用する装置の総称を言います。
つまりは回転の力を利用して粘土の形を変えていくというのが、陶芸で言うところのろくろ成形になります。
陶芸と言えばコレ!と言ったような成形方法と私は思っているのですが、なかなかに難しいです笑。

ろくろ成形の手順
ろくろで形を作っていくにしても、手順というものがあります。これは教わる先生やどこの地方で教わるかでも変わってくるところですが、基本の手順は変わらないものかと思います。
ざっくり言って以下の手順があります。例として今回はお茶碗の作り方を元に書いていきます。
①土殺し → ②土取り → ③形作り → ④整える → ⑤完成!
なんだか①番が物騒ですが、話していきたいと思います笑。
①土殺し
土殺しとは、土練りした粘土をろくろの上に据え、ろくろ成形しやすくするために行う土の準備体操のようなものです。どういうものかと言うと、両手を使って粘土の塊をろくろの遠心力と水を利用して上下に搾り上げたりつぶしたりする作業です。うーん、文章で伝えるのが難しい・・・笑。

ろくろ成形することを、別に「水挽き(みずびき)」と言うのですが、文字通り水を使いながら土を引き延ばしていくからその名がついています。その水挽をスムーズに行うためには、水を使って両手で手を滑らせながら土を押しつぶしていく必要があるのです。

土練りをしたからといって、いきなり形を作っていくことはできません。いや、出来るのですがものすごく作りにくいです笑。土練りすることで粘土の硬さの調整をしたわけですが、今度は水挽きをする上での粘土の硬さの調整をし、土を引き延ばしやすくするわけです。

土練りがある程度できるようになったとして、いざろくろが出来るか?と言えばそれは甘いというものです笑。陶芸を仕事にしている方であれば特に土殺しがいかに大切かわかる話ではあると思うのですが、、何かに例えて話すことが難しい話かなとも思います。それでも何か言うとしたら、土殺しをきちんとしなかった作品は、ろくに粉を振るわなかったお菓子やお好み焼きのような、口当たりの悪い、形にはなっているけど中身は美味しくない・・・といったような作品になることがあります。
いかに下ごしらえ、下準備をすることがいい作品に繋がるかというのがもろに分かるのが、「土殺し」と言えますね。
②土取り
土殺しができたら、次は目的の形を作っていく下準備に入るわけですが、これを「土取り(つちどり)」と言います。この土取りの方法は地方でやり方が異なるものですが、土取りをする意味は、これから作りたいものに合わせて必要な量の土を予め取っておく・・・!ということです。

どういうことかと言うと、例えばお茶碗を作るのであれば、それに必要な土の量を粘土の山から少し取っておく。私の場合だと、完成したお茶碗が大体200gもいかないので、感覚で200gほどの土を取ります。どのくらいの土を取ればよいかというのは、経験で身についていくものですが、多く土を取ると作品が重たくなりますし、今後作品を削る作業の時に面倒になります。逆に少ないともう目当てに作品はその時点で作れなくなります。

必要な土の量も大事ですが、土取りをする時点で、「高台」と呼ばれる器の底の部分の幅と厚みをその時に大体決めて作ります。作っている最中に微調整もできますが、はじめに決めておくことでその後の作業がスムーズに進みます。結構計算して手の感覚で捉えています(笑)。
③形づくり
ここまで終えてやっと念願の形作りに入れます(笑)。本当はもっと細かく言えるところはあるのですが、冗長になりますし割愛します笑。
一番楽しい工程には違いないのですね!これがやりたくてろくろやっているようなものです。ろくろしているところを見ると、みるみるうちに形が変わっていってお茶碗ができたり湯呑み、タンブラーやお皿が出来ていくわけです。

それぞれ何を作るかで土取りから形作りまで手順が変わるのですが、これまでの工程がうまくいった上で成り立つのが形作りです。これから、薄く作りたいのか、複雑な形を作りたいのか・・・何をどういう風に作っていくかを考えて作る必要があります。

楽しい工程ではある一方、仕事で作る場合は、粘土の山から沢山作品を作ることになります。何に気を付けなければいけないかと言うと、悠長に作っていてはいけない・・・ということなんですよね笑。結構時間との勝負なんです。ゆっくり作っていると粘土は水分を吸い続けてふやけてきます。土がふやけてくると粘土がどんどん形を保てなくなりどろ泥上になっていきます。形を保つためには、いかに手数を減らし、効率よく理想の形を作っていくかが問われていきます。これは職人的な発想かもしれませんが、一つの作品に時間をかけすぎて何らいいことはありません。

例えば、私が水挽きでお茶碗を1つ作る時間は大体3~5分です。1時間に12~15個作るのが理想です。20個作れたらいいんですが・・・精進せねば笑。

④整える
そうして最後に土の山から仕上がった作品を取り上げていくわけですが、、どうやってとるのか・・・?
先ずその前に器の口元をなめし革(鹿の皮)を使って綺麗に整えます。そうすることで仕上がった作品が完成した時、口当たりがよくなったり欠けにくくなる効果があります。最後の最後、綺麗に仕上げるのは大事ですね。
そして、作品を土の山から取るためには、「しっぴき」という道具を使います。しっぴきは、木の棒に糸を結び付けた道具なのですが、これを回転しているろくろ作品の底にまっすぐ平行に入れて糸を巻き取りきることで土の山と作品とを分離します。この時、糸の入射角を間違えると、遠心力で折角作った作品がぶっ飛んでいきます(笑)。
わたしも初めの頃は最後の最後に気を抜いて油断した時は飛ばしていました笑。緊張の一瞬ではありますが、慣れるとなんてことない作業にはなってきます。
そうして作品の底を両手をカニのようにちょきにして持ち上げて、板の上に置いていきます。これでやっと水挽きの終わりです!
まとめ
以上がろくろ成形になります。楽しそう!面白そう!!という代名詞である成形には、実はこんなに工程がありました。陶芸体験などでは楽しいところだけ楽しめるので、非常にいい思い出になるものだと思います。陶芸教室ではじっくりと全部を体験できますし、一度体験からはじめてはまったら教室にも通ってみてもらいたいものです。
ワークショップなどは私もたまにやるのですが、需要があれば今後開催していこうかな・・・?笑。
色々言いましたが、プロだろうがアマだろうが、ものつくりというのはとても楽しいものです。ろくろは形がどんどん変わっていくのが本当に魅力的で楽しいものです。ぜひやったことのない方は、失敗してもぐちゃぐちゃになったとしても楽しい体験になるはずです笑。
私は、陶芸体験の窯元である京都の瑞光窯で働いていましたが、30分で1つ作品を作り上げることもできます。実は敷居はそんなに高くないんです。結構、うまく作れますか?失敗したくないんです・・・という声も聴いてきましたが、帰るときには笑顔で帰られる方が圧倒的に多かったです。
この記事を読んで陶芸に興味が出た方は、ぜひ陶芸してみてくださいね!そして私の作品もぜひ見て頂けたらと思います(笑)。
では、次は「乾燥」について話していきたいと思います!それではまた!
