手作りの器はなぜ高い?価格の理由を陶芸家が説明
はじめに
陶器市やギャラリー、オンラインショップなどで手作りの器を見ると、「素敵だけど、ちょっと高いな」と感じたことがある方も多いと思います。実際、展示会でもそういう声をいただくことは少なくありません。
今回は、陶芸家として活動している私の立場から、なぜ手作りの器がこの価格になるのか、その理由をできるだけわかりやすくお話ししてみようと思います。
一点ずつ作るということ
手作りの器は、工場で大量生産されるものとは作り方がまったく違います。
土を練るところから始まり、ろくろで成形し、乾燥させ、削り、素焼き、釉薬がけ、本焼きと、完成までには多くの工程があります。しかも、そのほとんどが手作業です。
同じ形を作っているつもりでも、わずかな力加減や湿度の違いで仕上がりは変わります。時間をかけて、集中して、一点一点向き合って作っています。
見えない時間と手間
器の価格には、実際に形になっている時間だけでなく、その前後にかかる時間も含まれています。
釉薬の調合やテスト、焼成条件の調整、道具の手入れ。うまくいかなかったときに原因を探す時間も、すべて制作の一部です。完成品だけを見ると伝わりにくいですが、そこにはかなりの試行錯誤があります。
失敗やロスも含めて
焼き物は、焼いてみないと結果がわからない部分があります。
割れたり、歪んだり、釉薬の表情が想像と違ったりして、販売できない作品が出ることも珍しくありません。そうしたロスも含めて、ようやく並べられる器の価格が決まります。
一つの器の値段には、表に出ない失敗の積み重ねも含まれているんです。
注文を頂いた時などは、例え1点の注文だとしても実際に作る数は3~5点ほど作ります。焼成時の歪みや色味の違い、お客様や取引先様とのヒアリングで得た情報と完成品との間に違いがあった場合に備えて予備を作る。これを行うことは鉄則です。しかし、予備を作るということは「余り」が出るということ。特殊な品を作った場合、一般に販売しにくい在庫を抱えるリスクもあります。
高い=特別、ではない
誤解して頂きたくないのは、「高い器が偉い」という話ではないということ。
安くて使いやすい器にも、もちろん価値はあります。ただ、手作りの器は、どうしても作り方の性質上、価格が上がってしまう。それだけの話なんです。
その背景を知った上で選んでもらえたら、器との向き合い方が少し変わるかもしれません。
まとめ
手作りの器が高く感じられるのは、時間と手間、経験が詰まっているから。
値段だけで判断するのではなく、「どうやって作られているか」を知ることで、自分に合った器を見つけてもらえたら嬉しいです。
